足つき性を改善するアンコ抜き

バイクのシートカスタムにおいて最も相談が多いのが、足つき性の向上を目的とした「アンコ抜き」です。これはシートの表皮を一度剥がし、中のウレタンフォームを削って座面を下げる加工のことを指します。

車高が物理的に下がることで停車時の足つきが良くなり、信号待ちや取り回しでの安定感が増すため、立ちゴケのリスクを減らすことができます。特に純正シートの幅が広く足を下ろしにくい車種や、車高が高いアドベンチャーモデルに乗るライダーには非常に有効な手段です。

ただし、ウレタンを削る量には注意が必要です。足つきを優先しすぎてクッションを薄くしすぎると、路面からの衝撃がダイレクトに伝わり、短時間の走行でもお尻が痛くなる原因となります。

また、極端な形状変更は乗車姿勢にも影響を与えるため、ハンドルやステップとの位置関係も考慮し、快適性を損なわない範囲で自身の体格に合わせた調整を行うことが重要です。

ゲル埋め込みによる疲労軽減

長距離ツーリングにおける最大の悩みであるお尻の痛みを解消するには、衝撃吸収材である「ゲル」の埋め込みが推奨されます。これはシートのウレタン部分をくり抜き、専用のゲルパッドを内蔵させる加工方法です。医療用などにも使われる高品質なゲル素材は体重を分散させると同時に、エンジンや路面から伝わる微細な振動を吸収する役割を果たします。

単に座り心地が柔らかくなるだけでなく、特定の箇所にかかる圧力が軽減されるため、長時間走行後の疲労感には大きな違いが生まれます。施工の際は、元のシート形状を崩さないよう、ゲルの厚み分だけ正確にウレタンを切除する技術が求められます。

表面に段差が出ないように仕上げれば、外観を変えずに乗り心地だけを向上させることができるため、純正のデザインを維持したいライダーにも適したカスタマイズと言えるでしょう。

表皮張り替えの効果と方法

シートの表皮張り替えは、愛車の印象を大きく変えるドレスアップ効果と、機能性の向上を同時に得られるカスタマイズです。

選べる素材は多岐にわたり、クラシックな雰囲気を出すタックロールや、スポーティなカーボン調、高級感のあるスエード調など、好みのスタイルに合わせて選択できます。機能面では、滑りにくいグリップ力の高い素材を選ぶことで、加減速時の体のズレを防ぎ、ライディングを安定させる効果も期待できます。

作業にはタッカーと呼ばれる工具を使用しますが、曲面に合わせてシワなく表皮を張るにはコツが必要です。特に縫い目からの浸水を防ぐための防水処理や、複雑な形状への追従は技術を要するため、仕上がりの美しさを求めるのであれば専門業者への依頼も検討すべきです。

経年劣化による破れの補修としても有効な手段であり、リフレッシュを兼ねたカスタムとして人気があります。